年収

調理師は家庭を持つと生活できない?

「調理師の仕事は給料が低い」とよく言われますが、実際のところ調理師として働きながら家庭を持ち、安定した生活を送ることはできるのでしょうか?

今回は、調理師としての働き方や収入の実態を見ながら、家庭を持つことが可能かどうか考えてみます。

調理師の給与事情

まず、調理師の平均年収はおおよそ330万円前後と言われていますが、実際の給与は業種や職場環境に大きく左右されます。たとえば、大手のレストランやホテルでは、調理長や板前などのポジションに就けば、年収が大幅に上がることもあります。しかし、小規模な飲食店や居酒屋では、長時間働いても手取りが12万円程度にしかならないことも珍しくありません。こうした給与水準は、特に若い調理師やキャリアの浅い人たちにとって厳しい現実です。

また、業界全体として労働時間が長く、休みが少ないという傾向があります。ランチやディナーの準備のために仕込みを行う必要があり、一日の大半を職場で過ごすことになります。大規模な店ではシフト制で働くことができるかもしれませんが、特に小さな店では一人ひとりの負担が大きく、結果として労働時間が長引きやすくなります。

家庭を持つことの難しさ

こうした状況の中で、調理師が家庭を持つことは難しいのでしょうか。確かに、給料が低いと感じる調理師は多いですが、それが必ずしも家庭を持てないということには繋がりません。ただし、調理師が家庭を支える一人の稼ぎ手として十分な収入を得るのは難しい場合もあります。そのため、共働きを選ぶ家庭が多いのも事実です。

特に、外食産業など労働時間が長く、残業が多い業種では、家事や育児との両立が難しいことがあります。調理師の中には、結婚や子育てをきっかけに転職を考える人もいます。たとえば、給食調理や企業の社員食堂など、比較的労働時間が短く、安定した勤務が見込める職場に移ることで、仕事と家庭のバランスを取りやすくするケースも少なくありません。給料は下がることがあっても、家族との時間を優先できるため、こうした選択を取る人も多いです。

収入アップのためのキャリアアップ

また、調理師としてのキャリアを積み上げれば、収入を増やすことも可能です。長年の経験を積んで技術を磨き、有名店で働くことができれば、テレビに出演したり、自分の店を開業して成功したりするチャンスも広がります。特に自分の店を持ちたいという夢を持つ調理師は多く、資金を貯めながらノウハウを学び、最終的には独立を目指すというパターンが一般的です。

ただし、独立するには資金の準備や経営の知識が必要であり、全員が成功するわけではありません。成功すれば高収入が期待できますが、その過程にはリスクが伴います。したがって、家族を持ちながら独立を目指す場合は、慎重に計画を立てることが重要です。

給食調理への転職

私の知り合いである調理師のAさんは、長時間労働と不規則な勤務時間が原因で家族との時間が取れず、外食産業から給食調理の仕事に転職しました。給食調理は労働時間が短く、残業もほとんどないと聞いたことが、その決断の大きな理由だったそうです。

転職後、Aさんの月収は大幅に減少しました。以前はボーナスも含めて年収400万円ほどありましたが、給食調理ではボーナスがなく、年収が200万円まで下がってしまったそうです。しかし、彼はそれを納得の上で選んだと言います。なぜなら、その代わりに家族と過ごす時間が大幅に増え、生活の質が向上したと感じているからです。家族との夕食や週末をゆっくり過ごすことができるようになり、精神的な余裕もできました。

彼の妻はフルタイムで働いており、年収500万円ほど稼いでいます。そのため、家庭全体の収入はなんとか安定しており、生活自体は大きな不安なく回っています。しかし、それでもAさんは、将来的にこの働き方で良いのか迷い続けているそうです。妻の収入に頼ることで現在の生活は成り立っているものの、自分自身がもっと家計を支えるべきではないかという思いも強く、子どもの教育費や将来の老後資金を考えると、このまま今の仕事を続けて良いのか悩んでいると言います。

Aさんは調理師という職業が好きで、その仕事を続けていきたいという気持ちがありますが、現実的な問題も無視できません。彼は今、妻の支えがあってこその生活に感謝しつつも、自分のキャリアや将来の展望について再度見つめ直す必要があると考えているようです。

共働きが必要な現実

私の経験から感じるのは、調理師の仕事で家庭を養うのは簡単ではないということです。もちろん、飲食業界でも高収入を得られるポジションはありますが、それはごく一部です。多くの調理師は、長時間働きながらも給与はそれほど高くないため、家庭を持つには共働きが現実的な選択肢になることが多いでしょう。実際、私も妻が働きに出ることで、なんとか家庭を支えています。

また、もし家庭を持つ前に私が知っていたら良かったと思うのは、給料の良い職場やキャリアアップの方法についての情報です。調理師としてキャリアを積んでいくには、技術を磨くだけでなく、転職を繰り返して経験を積むことが非常に重要だと感じています。特に、高級店やホテルでの経験があれば、将来的に独立して自分の店を持つことも夢ではないかもしれません。

最後に

調理師として働きながら家庭を持つことは、決して不可能ではありませんが、多くの努力と工夫が必要です。収入を増やすためには、技術を磨き、より良い環境を求めて転職を繰り返すことが一つの方法ですし、共働きの選択も現実的です。家庭との時間をどうバランスよく取るかも大切な課題です。私は今後も自分の技術を高めながら、家族との時間も大切にしていきたいと考えています。

ABOUT ME
carrot
30代の調理師で2児の父。 専門店で1年働いた後、リゾートホテルで働くもうつ病に。 復帰後、転職活動を経て現在は調理責任者。 自身の経験から調理現場での成功や失敗を共有し、読者が適切なキャリアを見つける手助けをするブログを執筆中。