「老人ホームの調理補助、もう限界」
「でも、辞めた後どうしたらいいのか、分からない」
この2つがセットで頭を回っている人、多いと思います。
辞めたい気持ちがあっても、次の映像がぼんやりしていると、動けないんですよね。
僕は今、現役で老人施設の厨房で働いています。
そこに辿り着くまでにはホテル、専門店、大量調理と業態を変えてきました。
正直に書いておきますね。
僕自身は、いまの施設で「自分に合う場所」を見つけたので、ここから転職はしていません。
だから今回の記事は、僕の体験談ではないです。
そのかわり、施設で一緒に働いてきた同僚や先輩、業界の知り合いから見聞きしてきた「調理補助を辞めた人が、次に選んでよかった職場」を5つ、現場の一次情報ベースでまとめます。
具体的にどんな仕事内容で、何が良かったか、何が微妙だったか。
求人票では見えない部分に踏み込んで書きます。
「辞めたい」から「じゃあどこに行こう」に頭を切り替えたい方に、届いてくれたら嬉しいです。
そもそも、なぜ老人ホーム調理補助を辞める人が多いのか
本題に入る前に、少しだけ整理させてください。
僕がいま働いている施設でも、調理補助を辞めていく人は毎年います。
理由を並べると、こんな感じです。
- 刻み食やペースト食の準備が体力的に重い
- 入居者ごとの細かい個別対応がしんどい
- 薄味で「美味しい」と言われにくい
- 「まずい」と直接言われる日々に心が削れる
- 介護士や看護師との人間関係
- 給料が仕事量に見合っていない感
このどれかに強く共感するなら、辞める判断は自然だと思います。
ただし、辞めた後にどこへ行くかで、生活の質は本当に変わります。
「業態は好きだったけど、施設が合わなかった」というケースもよくあります。
その場合、次の職場は同じ業態内で選ぶのが正解です。
「調理そのものが嫌になった」というケースもあります。
その場合は、業態そのものから離れる選択肢を検討することになります。
そこの見極めが、次の職場選びの分岐点です。
選んでよかった職場1|社員食堂
僕の周りでいちばん多いのが、社員食堂への移動です。
どんな仕事か
企業の中にある食堂で、社員向けの昼食を中心に提供します。
朝食と夕食もある施設もありますが、多くは昼のみ、または朝昼のみ。
大量調理の要素はあります。ただ、老人ホームのような細かい食事形態別対応は基本的にありません。
シンプルに作って、シンプルに提供する仕事です。
良かった点(移った人たちの声)
- 土日祝が休みの職場が多い
- 夜勤なし、早朝勤務なしの求人がある
- 個別対応が少ないので気楽
- 「まずい」と直接言われる場面がほぼない
- カレンダー通りに休めるから予定が立てやすい
微妙な点
- 昼のピーク時は忙しさがそこそこある
- メニューの創作性は低め
- 会社の休業日に合わせるため、繁忙期の稼働は少ない(短期契約だとその分収入が減る)
こんな人に向いている
- 生活リズムを最優先したい人
- 家族との時間を取り戻したい人
- 個別対応のストレスから離れたい人
老人ホームで消耗した人が、いちばん「息をつけた」と言うのが社員食堂です。
共通して聞くのは「夜、家で普通にご飯を食べられる生活が戻ってきた」という話。ここは本当に大きいです。
選んでよかった職場2|保育園の給食
僕の元同僚で、保育園に移った人が数人います。
「毎日、子どもの顔を見ながら仕事できるのが救いだった」と話していました。
どんな仕事か
保育園の中で、園児向けの給食とおやつを作る仕事です。
アレルギー対応や食育の観点が入るので、そこは老人ホームと似た「気を使う」部分があります。
良かった点
- 平日昼間中心のシフト
- 土日祝が休みの求人が多い
- 「美味しい」「ありがとう」と直接言われる機会が多い
- 食育の視点で仕事の意味を感じやすい
- 子どもの成長を近くで見られる
微妙な点
- アレルギー対応のプレッシャーがある
- 食育の書類作成や、園全体との連携が発生する
- 給与は特別高くはない
こんな人に向いている
- 「まずい」と貶されて疲弊した人
- やりがいをもう一度取り戻したい人
- 子育て世代で、園児と関わることに抵抗がない人
老人ホームと保育園、対象年齢は真逆ですが、「食で人を支える」という軸は同じです。
そこの延長で選ぶ人は多いです。
選んでよかった職場3|病院の給食
老人ホームからの近距離転職として、病院給食に移る人もいます。
どんな仕事か
病院の入院患者さん向けに、治療食や一般食を作ります。
糖尿食、腎臓食、透析食など、医療的な配慮が必要な食事もあります。
良かった点
- 大手の医療法人運営の現場が多く、労務管理がしっかりしている
- 有給が取りやすい職場が多い
- 治療食の知識という専門性が身につく
- 老人ホームの経験がほぼそのまま活きる
- 夜勤ありの職場は夜勤手当で給与が伸びる
微妙な点
- 医療現場ならではの緊張感がある
- 治療食の細かいルールを覚えるまで大変
- 患者さんの状態変化に合わせた急な対応が入る
こんな人に向いている
- 老人ホームの経験を活かしつつ、環境だけ変えたい人
- 労務管理がしっかりした職場を求める人
- 治療食に興味がある人
「老人ホームで消耗したけど、業態は嫌いじゃない」という人が、いちばんスムーズに移れる場所です。
選んでよかった職場4|別の老人ホーム(施設替え)
これ、意外と侮れません。
同じ「老人ホーム調理補助」でも、施設が変わるだけで働きやすさは激変します。
なぜ施設替えで解決するのか
僕の周りにも、老人ホームを辞めた後で、別の老人ホームに移った人が何人かいます。
みんな口を揃えて言うのは、「業態は好きだった。施設が悪かっただけだった」という話。
良い施設と悪い施設の差
僕がいまの施設で働いていて、他施設の話を聞いていて感じる差はこんな感じです。
- 入居者数と厨房スタッフの人数のバランス
- 介護士との関係性(挨拶が返ってくる施設は、たいてい厨房も穏やか)
- 直営か委託会社経由か(直営のほうが労務管理が整っていることが多い)
- 厨房責任者の性格
- 平均勤続年数(長い施設は空気がいい)
移った人たちの声
- 「同じ業態なのに、こんなに違うのかと驚いた」
- 「刻み食もペースト食もあるけど、人手が足りているから消耗しない」
- 「介護士がふつうに『ありがとう』と言ってくれる。それだけでこんなに違う」
こんな人に向いている
- 業態は嫌いじゃない、施設が嫌いだった人
- 「調理補助」という職種は続けたい人
- 大幅にキャリアを変えたくない人
「業態を変える」より「施設を変える」ほうが、失うものは少ないです。まずここを検討する価値はあります。
選んでよかった職場5|異業種(調理から完全に離れる)
もうひとつのパターンが、調理から完全に離れる選択肢です。
どんな職種に移っているか
僕の周囲で、老人ホームから別業界に移った人の職種はこんな感じです。
- 一般事務職
- 販売・接客(小売、アパレル、雑貨)
- 配送・物流
- コールセンター
- 食品メーカーの製造や品質管理
良かった点
- 立ち仕事から解放される
- 「食べ物」に関わるプレッシャーがなくなる
- 業種次第で年収が伸びやすい
- デスクワークで空調の効いた環境で働ける
- 自分の可能性を試し直せる
微妙な点
- 未経験からのスタートで、最初は年収が下がるケースもある
- パソコンスキルが必要な職種が多い
- 調理の経験が直接活かせないことに寂しさを感じることもある
こんな人に向いている
- 調理そのものから離れたい人
- 立ち仕事に完全に疲れた人
- まったく違う世界を見てみたい人
意外なんですが、調理補助の人たちは「段取り力」「衛生管理」「集中力」「体力」の4点で、他業種でもけっこう評価されます。
経歴を諦める必要はないですよ。
5つの選択肢、まるわかり比較表
| 職場 | 生活リズム | 給与レンジ | やりがい | 老人ホーム経験の活かしやすさ | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|---|
| 社員食堂 | ◎ | 中 | 中 | ○ | 生活最優先の人 |
| 保育園 | ◎ | 中 | ◎ | ○ | やりがい重視の人 |
| 病院給食 | ○ | 中〜やや高 | ○ | ◎ | 業態近距離で環境改善したい人 |
| 別の老人ホーム | ○ | 中 | ○ | ◎ | 業態は嫌いじゃない人 |
| 異業種 | △〜◎ | 業種次第 | 業種次第 | △ | 完全に離れたい人 |
選ぶときに、失敗しない5つの視点
老人ホームから移るとき、こういう順番で見ておくと外しにくいです。
視点1 何が嫌で辞めるのかを、はっきりさせる
刻み食が嫌なのか。
介護士との関係が嫌なのか。
給料が嫌なのか。
「まずい」と言われる日々が嫌なのか。
ここを言語化しないまま次に行くと、次の職場でも同じことで詰まります。
視点2 生活リズムをどれくらい変えたいか
朝が早くていいのか、遅めにしたいのか。
土日休みが絶対条件か、シフト制でもいいのか。
夜勤アリでもいいのか、絶対に日勤だけがいいのか。
生活の希望が明確な人ほど、失敗しません。
視点3 給与か、環境か、どちらを優先するか
両立を狙うと、選択肢が一気に狭くなります。
「多少給与が下がっても、生活リズムを取り戻したい」なのか、「生活は多少キツくても年収を上げたい」なのか。
僕の周りで見ている限り、老人ホームから移る人は「環境優先」が圧倒的に多いです。
視点4 リセットボタンを押すだけの転職にしない
これは声を大にして言いたい。
今の職場で、先輩の効率的な動き、段取りの組み方、1way2job(1回の移動で2つ以上の仕事をこなす)の感覚。
辞める前にぜんぶ観察して、脳に焼き付けてから次に行ってください。
これがあると、次の職場で立ち上がりのスピードが全然違います。
視点5 情報を持って動く
求人票だけで職場は判断できません。
特に施設や医療系は、内部情報を持っているエージェント経由の方が、失敗しにくいです。
状況別、次の一歩
ここまで読んで、動く方向が見えてきた方へ。
介護施設や福祉系で環境を変えたい方へ
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もう限界、話し合いすら無理な方へ
退職代行という選択肢もあります。
引き止めが激しい、パワハラで対面できない、明日から行けない、というレベルなら合理的な判断です。
よくある質問
Q. 老人ホームから社員食堂に移ると、給料は下がりますか
A. 職場次第です。同水準か、若干下がるケースが多いですが、生活リズムの改善分が大きいので、「時給換算」で考えると悪くない選択肢です。
Q. 保育園給食は、資格がないと入れない?
A. 調理補助であれば無資格でも入れる求人が多いです。ただし、栄養士や調理師免許があると条件が広がります。
Q. 病院給食って、夜勤があるって聞きましたが
A. 施設によります。夜勤なしの求人もありますし、夜勤ありで手当を取る働き方もできます。求人票で必ず確認してください。
Q. 別の老人ホームに移る場合、経歴的にマイナスになりませんか
A. なりません。むしろ「即戦力」として歓迎されます。老人ホームでの経験は、次の施設でも1日目から活きます。
Q. 完全に業界外に出る場合、何歳まで可能ですか
A. 20代なら未経験歓迎求人が多く、30代でも十分可能です。40代以降だと選択肢は狭まりますが、事務や物流など受け皿はあります。
Q. 転職エージェントは、複数登録していいですか
A. むしろ2社以上の併用がおすすめです。1社だけだと担当者のクセや得意分野に紹介が偏ります。
Q. 辞めるかどうか、まだ迷っています
A. 判断軸の整理はこちらにまとめています。
→ 老人ホーム調理補助を辞めたい時に読む話|現役施設勤務者の本音
まとめ|辞めた後の映像が見えるだけで、動きやすくなる
老人ホーム調理補助を辞めた人たちが、次に選んで良かった職場は、大きく5つに分かれます。
- 社員食堂(生活リズム最優先)
- 保育園(やりがい重視)
- 病院給食(近距離で環境改善)
- 別の老人ホーム(業態は好きだった人向け)
- 異業種(完全リセット)
僕自身は、いまの老人施設で自分に合う場所を見つけたので、ここから転職はしていません。
でも、辞めていった同僚たちを見ていて、感じることがあります。
みんな、辞めた後のほうが良い顔をしていた。
表情が戻っていた。
「あの施設でずっと頑張っていた自分は何だったんだろう」と笑って言える程度には、次の場所で息を吹き返していた。
合わない場所にいる時間は、本当にもったいないです。
一流のシェフを目指す明確な夢がないなら、無理に厳しい場所で消耗する必要はありません。
一流じゃなくても、必要とされる場所は必ずあります。
自分に合う場所を、早く見つけてください。
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あなたの「もう限界」が、「動いてよかった」に変わりますように。
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