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採用担当が注目!調理師の履歴書で「差がつく」書き方とは?

1. はじめに

飲食業界では、慢性的な人手不足が続いている一方で、優秀な人材の獲得に積極的な店舗や企業も増えています。調理師としての経験がある方や、これからプロの現場で腕を磨きたいと考えている方にとって、今はチャンスの多いタイミングです。

しかし、そのチャンスを活かせるかどうかは、「履歴書」の出来にかかっていると言っても過言ではありません。実際、同じようなスキルや経験を持っている応募者の中でも、「履歴書の書き方ひとつ」で面接に呼ばれるかどうかが分かれてしまうことはよくあります。

特に調理師の履歴書は、一般事務などの職種と異なり、専門性や職場の雰囲気に合う人かどうかが重視されます。だからこそ、形式的な履歴書ではなく、「自分の強みを的確に伝える履歴書」が必要なのです。

本記事では、調理師として就職・転職を目指す方に向けて、採用担当者に注目される履歴書の書き方を、具体的なポイントごとに解説します。初めて書く方でも安心して取り組めるよう、基本ルールからよくある失敗例、さらには差をつけるためのテクニックまで、網羅的にご紹介していきます。

2. 調理師の履歴書で見られているポイントとは?

調理師の採用では、履歴書は単なる経歴の確認ツールではありません。「この人を現場に入れてうまくやっていけそうか?」という、現場との相性や人柄も含めた判断材料として使われます。採用担当者が履歴書を通して見ているポイントを理解することで、より効果的にアピールできる書き方が可能になります。

2-1. 調理経験とジャンルのマッチング

まずチェックされるのは、「どんな料理ジャンルで、どんな役割を経験してきたか」です。和食・洋食・中華・イタリアン・フレンチなど、お店の業態に近いジャンルでの経験があると、即戦力として期待されやすくなります

例えば、「和食の居酒屋で3年間、刺場を担当」など、ポジションや年数を明記すると、具体性が出て印象に残ります。

2-2. 資格やスキルの有無

調理師免許はもちろん、食品衛生責任者、防火管理者などの資格も評価対象です。加えて、製菓技術や仕込み技術、発注や在庫管理スキルがある場合も積極的に書きましょう。

中には「包丁研ぎが得意」「魚を3枚におろせる」「デザートの盛り付けが得意」といった具体的な技術が武器になることもあります。

2-3. 人柄・チームワーク力

調理の現場は、スピードと連携が求められるため、「周囲とうまくやれる人かどうか」も重要な判断基準です。履歴書からは限られた情報しか得られませんが、志望動機や自己PRの書き方から、その人の雰囲気や姿勢が伝わることもあります。

「常に清潔感を意識して仕事をしています」「後輩指導の経験がある」などの一文があるだけでも、職場にとってプラスになる印象を与えられます。

2-4. 勤務条件や勤務姿勢

希望する勤務時間帯、休日、シフトの柔軟性も採用可否に影響します。「週5日で土日も出勤可能」「長期的に働きたい」といった前向きな記載は、安定して働いてくれる印象につながります

また、「どのような職場を求めているか」についても、履歴書ににじみ出てくるため、応募先の方針や雰囲気とミスマッチがないようにする工夫も大切です。

3. 履歴書作成の基本ルール

履歴書は、あなたの第一印象を決定づける大切な書類です。どれだけ調理の腕に自信があっても、基本的なルールが守られていないと、それだけでマイナス評価になってしまうこともあります。ここでは、調理師として応募する際にも通用する、履歴書作成の基本ルールを押さえておきましょう。

3-1. 手書きとパソコン、どちらがいい?

近年ではパソコン作成が一般的になりつつありますが、飲食業界ではいまだに「丁寧な手書き」に好印象を持つ採用担当者もいます。迷った場合は、求人情報に「手書き指定」があるかを確認し、なければパソコン作成で問題ありません。

手書きのメリット:

  • 丁寧さや誠実さが伝わる
  • 温かみを感じてもらえる

パソコンのメリット:

  • 読みやすく、修正が簡単
  • 複数社への応募にも対応しやすい

どちらを選ぶにせよ、「丁寧に書く/整ったレイアウトにする」ことが大前提です。

3-2. 写真の貼り方と服装のマナー

履歴書に貼る写真も、重要な印象づけの要素です。

  • 写真は3か月以内に撮影したもの
  • 背景は無地(白や青)で明るめが理想
  • 服装は清潔感のあるシャツや調理服(制服でなくてもOK)
  • 髪型は清潔感重視。長髪・髭は整えること

カジュアルなスナップ写真や、プリクラのような画像はNGです。「清潔感」と「信頼感」を与える写真を選びましょう。

3-3. 誤字脱字は致命的!提出前に必ずチェック

誤字脱字があると、「雑な人」という印象を与え、仕事でもミスが多いのでは?と思われるリスクがあります。以下のチェックリストで提出前に見直しましょう。

チェックリスト:

  • 漢字や言い回しに間違いはないか
  • 日付や西暦・和暦の統一はできているか
  • 名前や住所、電話番号に誤記はないか
  • 職歴に抜け漏れはないか
  • 写真はきちんと貼られているか

可能であれば、第三者に読んでもらってチェックしてもらうと安心です

4. 各項目の具体的な書き方と差をつけるコツ

調理師の履歴書では、単に空欄を埋めるのではなく、各項目を通じて自分の強みや人柄を伝えることが大切です。この章では、履歴書の各項目について、採用担当者に「おっ」と思わせる書き方のコツを具体的に解説します。


4-1. 氏名・写真:第一印象で信頼感を伝える

  • 氏名は、読みやすく丁寧に書きます。ふりがなも忘れずに。
  • 写真は、前章でも触れたように、清潔感と誠実さが大切です。

ポイント:
「笑顔は自然に」「髪型は整える」「背景はシンプルに」を意識すると、安心感のある印象を与えます。


4-2. 学歴・職歴:一貫性と具体性で信頼度アップ

  • 学歴は中学校卒業以降を記載。
  • 職歴では、業態(例:和食居酒屋)、規模(例:50席)、担当ポジション(例:仕込み、焼き場)などを明記。

悪い例:
「〇〇レストランに勤務」
→ これだけでは内容が不明確。

良い例:
「2020年4月〜2023年3月:和食居酒屋『〇〇』にて、焼き場および仕込みを担当。週替わりメニューの考案も担当。」


4-3. 資格:調理師免許だけじゃない!関連資格もアピール

  • 調理師免許(取得年月日付き)は必須。
  • その他、「食品衛生責任者」「防火管理者」「栄養士」「製菓衛生師」なども強みになります。

さらに差をつけるには:
「〇〇料理コンテスト入賞」などの実績も、資格欄または特記事項に記載しましょう。


4-4. 志望動機:店舗の理念とリンクさせる

  • 「家が近いから」だけでは弱い!
  • 応募先のメニュー内容・店舗の方針・雰囲気と自分の経験・価値観を結びつけて書きましょう。

良い例:
「和食の基本を大切にされている御社の姿勢に共感しました。前職でも出汁の引き方や旬の素材の扱いを重視しており、その経験を活かして貢献したいと考えています。」


4-5. 自己PR:技術+人柄で“現場力”を伝える

  • 技術面(調理スピード、盛り付けのセンス、食材管理)
  • 人間性(協調性、責任感、指導経験)

ポイント:
数字やエピソードを交えると説得力がアップします。
例:「3年間で5名の後輩指導を経験」「週替わりランチメニューの売上を1.5倍に向上」


4-6. その他特記事項:勤務条件・健康面なども忘れずに

  • 勤務可能な曜日や時間帯
  • 通勤手段、体調・健康状態
  • 配慮が必要なこと(例:アレルギー、通院など)

これらは現場での配慮に直結するので、率直かつ前向きな表現で記載しましょう。

5. よくあるNG例と改善ポイント

履歴書でありがちな失敗には、「気づきにくいけど評価を下げてしまう落とし穴」がたくさんあります。ここでは、調理師の履歴書でよくあるNG例を具体的に紹介し、どう改善すれば好印象につながるかを解説します。


5-1. 抽象的すぎる志望動機

NG例:
「御社に魅力を感じたため、応募しました。」

理由がぼんやりしていて、誰にでも当てはまる内容です。

改善ポイント:

  • 店舗の理念や提供する料理への共感を具体的に
  • 自分の経験やスキルがどう活かせるかを明記

改善例:
「素材を生かした調理に力を入れておられる御社の考え方に共感しました。前職では旬の野菜を活用したメニュー作成に携わっていた経験を活かし、お客様に満足いただける料理を提供したいと思っています。」


5-2. 職歴の不備や時系列の乱れ

NG例:

  • 日付がバラバラ(例:和暦と西暦が混在)
  • 空白期間の説明がない
  • 店名だけで仕事内容がわからない

改善ポイント:

  • 年月の表記を統一(和暦 or 西暦)
  • 空白期間は「自己研鑽」や「家庭の事情」など簡単に説明
  • 業態やポジションを明記する

5-3. 写真の印象が悪い

NG例:

  • プライベート感のあるスナップ写真
  • 服装がラフ(Tシャツ、パーカーなど)
  • 表情が暗い、不自然な角度

改善ポイント:

  • スーツまたは白系のシャツで正面撮影
  • 明るく自然な笑顔を意識
  • 証明写真機や写真館での撮影がおすすめ

5-4. アピール不足で「印象に残らない」

NG例:
「やる気があります」「頑張ります」だけの自己PR

抽象的すぎて、他の応募者との差がつきません。

改善ポイント:

  • 実績・経験・得意分野を具体的に
  • 数字やエピソードを盛り込む

改善例:
「前職ではランチ営業で1日平均150食を提供する中、サラダやデザートの盛り付けを担当。見た目とスピードを両立し、お客様から『写真映えする』と好評でした。」


5-5. 丁寧さに欠ける全体の印象

  • 字が雑
  • 空欄が多い
  • 押印が抜けている(手書きの場合)

改善ポイント:

  • 丁寧に仕上げることで、誠意と本気度を伝える
  • 空欄が目立つと「やる気がない」と思われるため、可能な限り全項目を記入
  • チェックリストで最終確認を忘れずに

6. ワンランク上を目指す履歴書の工夫

基本的なルールやNGを避けるだけでも、履歴書の質は大きく向上します。しかし、他の応募者と差をつけたいなら「一歩先を行く工夫」が必要です。この章では、採用担当者に「ぜひ会ってみたい」と思わせる、履歴書の“プラスアルファ”のポイントをご紹介します。


6-1. 経験や強みを「数字」や「実績」で見せる

人は抽象的な表現より、具体的な数値や結果のある話に信頼感を持ちます。

例:

  • 「ディナータイムに平均120名を対応する繁忙店で3年間勤務」
  • 「月替わりの新メニュー提案が年間20品以上採用」
  • 「原価管理の見直しで、仕入れコストを約10%削減」

→ 単なる経験の羅列ではなく、“成果”として伝えるのがポイントです。


6-2. 得意ジャンルやポジションを明確に伝える

採用側は「即戦力になるか」を重視しています。
「自分はどんな料理・作業に強みがあるのか」を明記しましょう。

書き方例:

  • 「パスタやソースの仕込みを得意とし、メイン調理も担当可能」
  • 「前職では焼き場と揚げ場を兼任。スピードと衛生面に自信があります」

→ ポジションの明記は、配属や人員配置の判断にも役立ちます。


6-3. 店舗のコンセプトを意識した志望動機・PR

調理師の採用では、「お店との相性」も重視されます。

  • 店舗がオーガニック志向 → 「自然食や素材を活かした調理経験」を強調
  • 若年層ターゲットのカフェ → 「見た目重視・SNS映え」に関心があるとアピール

→ 事前に店舗のホームページやSNSをチェックし、考え方を合わせると好印象。


6-4. 面接を見据えた一貫性のある内容にする

履歴書と面接で話す内容にズレがあると不信感につながるため、履歴書は“会話のきっかけ”になるような内容を意識しましょう。

例:

  • 「○○料理が得意」と書いたなら、エピソードを用意しておく
  • 「新メニュー提案の経験あり」と書いたら、実際に出したメニューを話せるようにしておく

→ 履歴書は“入口”であり、“武器”にもなる書類。面接まで見据えた構成にしましょう。

7. まとめ

調理師として就職・転職を目指す際、履歴書はあなたの魅力を伝える最初のステップです。今回の記事では、採用担当者に注目されるための履歴書の書き方を、基本ルールから応用テクニックまで幅広くご紹介しました。

最後に、今日からできる履歴書改善のポイント3選を振り返っておきましょう。


✅ 今日からできる改善ポイント3選

  1. 志望動機や自己PRを“具体的に”書く
     →「何が得意か」「なぜ応募先に合っているか」を、経験と照らし合わせて明記しましょう。
  2. 経験・スキルを数字や実績でアピールする
     →「3年勤務」「メニュー採用数〇件」など、説得力のある情報で差をつけます。
  3. 店舗の雰囲気やコンセプトに合わせた内容にする
     → 応募先ごとに履歴書の内容を微調整し、「このお店に入りたい!」という熱意を伝えましょう。

どんなに優れた技術を持っていても、それが履歴書に伝わらなければチャンスを逃してしまいます。逆に、丁寧で自分らしい履歴書が書ければ、面接への第一歩はぐっと近づきます。

ぜひ、本記事を参考に、あなたの魅力がしっかり伝わる履歴書を仕上げてください。
そして、理想の職場で自分の技術を活かせるよう、応援しています!

ABOUT ME
carrot
30代の調理師で2児の父。 専門店で1年働いた後、リゾートホテルで働くもうつ病に。 復帰後、転職活動を経て現在は調理責任者。 自身の経験から調理現場での成功や失敗を共有し、読者が適切なキャリアを見つける手助けをするブログを執筆中。